機械設計技術者試験について、多くの意見がありますが、中には「意味がない」と言われることもあります。
この記事では、その理由とともに、機械設計技術者試験の内容やメリットについても詳しく解説します。
機械設計技術者試験が意味ないと言われる4つの理由とは?
- 現場で働くのに必須ではない
- 民間資格であり国家資格ではない
- 実務経験の方が重視される
- すべての企業で評価されるわけではない
①現場で働くのに必須ではない
まず最初に挙げられるのは、機械設計技術者試験が現場で働くために必須の資格ではないという点です。
機械設計技術者として働いている方は、この資格がなくても十分に業務を行えています。
実際の現場では、知識やスキルよりも実務経験が重視されることがほとんど。
現場での経験を通じて得られる知識やスキルは、試験で学ぶ理論を超えることが多いと考えられています。
②民間資格であり国家資格ではない
次に、機械設計技術者試験が国家資格ではなく民間資格であるという点です。
国家資格に比べて、民間資格の価値や信頼性は一般的に低く見られる傾向があります。
企業によっては、民間資格よりも国家資格を重視するところも多く、機械設計技術者試験を取得しても、それが直接的なキャリアアップや昇進に結びつかないことがあります。
③実務経験の方が重視される
三つ目の理由は、機械設計技術者の資格よりも実務経験の方が重視されることです。
機械設計の現場では、理論だけでなく実際に手を動かして設計や製図を行うスキルが求められます。
そのため、企業は実務経験が豊富な技術者を評価する傾向にあります。
機械設計技術者試験の資格を持っていることが採用の決め手になることは少なく、むしろ現場での実績やプロジェクトでの成果が重視されるのです。
④すべての企業で評価されるわけではない
最後に、機械設計技術者試験がすべての企業で評価されるわけではないという点も挙げられます。
特定の業界や企業では有用とされることもありますが、一般的にはどの企業でも高く評価される資格ではありません。
そのため、この資格を持っていることが必ずしも転職やキャリアアップに直結するわけではないのです。
機械設計技術者試験とはどんな内容?
機械設計技術者試験は、機械設計に関する知識や技術を評価するための試験です。
この試験は、機械設計の専門的な知識を体系的に学び、そのスキルを証明するための手段として提供されています。
機械設計技術者試験は、3級、2級、1級と分かれており、2級と1級には受験資格があります。
機械設計技術者試験3級
概要
機械や装置の詳細設計の補佐、ならびに関連する製図等の業務を行なえる能力に達した技術者、または機械設計全般の基礎知識を習得した学生を対象とした試験を行ないます。
一般社団法人 日本機械設計工業会 試験概要と出題科目
試験科目
機械工学基礎:機構学・機械要素設計、機械力学、制御工学、工業材料、材料力学、流体・熱工学、工作法、機械製図
試験形式
すべてマークシート方式です。
機械設計技術者試験2級
概要
基本設計に基づき、機械及び装置の機能・構造・機構等の具体化を図る計画設計業務を行なえる能力に達した技術者を対象とした試験を行ないます。
一般社団法人 日本機械設計工業会 試験概要と出題科目
試験科目
①機械設計分野:機構学、機械要素設計、機械製図、関連問題
②力学分野:機械力学、材料力学、関連問題
③熱・流体分野:熱工学、流体工学、関連問題
④材料・加工分野:工業材料、工作法、関連問題
⑤メカトロニクス分野:制御工学、デジタル制御、RPA、自動化技術、他
⑥環境・安全分野:機械設計技術者としての環境・安全の知識
⑦応用・総合:機械工学基礎、機械工業基礎に関する知識の設計への応用ならびに総合能力。記述式問題
試験形式
⑦応用・総合は記述式で、他は原則マークシート方式で一部記述式となる可能性があります。
機械設計技術者試験1級
概要
機械及び装置の基本仕様決定に必要な計算、構想図の作成等の基本設計業務を行なえる能力に達した技術者を対象とした試験を行ないます。
一般社団法人 日本機械設計工業会 試験概要と出題科目
試験科目
設計管理関連課題:機械設計に関わる管理・情報等に対する知識
機械設計基礎課題:機械設計の基本となる計算課題を含む知識
環境経営関連課題:機械設計の管理者として必要な環境・安全に対する知識
実技課題(問題選択方式):設計実務に関わる計算を主体とした問題が複数出題され、その中から指定された問題数を選択して解答
小論文:出題テーマから1つ選択し、1200~1600字程度の論文を作成
試験形式
すべて記述式となります。
機械設計技術者試験を受ける3つのメリットとは?
機械設計技術者試験には、以下のようなメリットがあります。
- 知識の体系化とスキルアップ
- キャリアアップの可能性
- 自己肯定感とモチベーションの向上
知識の体系化とスキルアップ
試験の勉強を通じて、機械設計に関する知識を体系的に学ぶことができます。
これにより、自分のスキルを客観的に評価し、足りない部分を補うことができるため、スキルアップにつながります。
キャリアアップの可能性
前述したように、すべての企業で評価されるとは限りません。
しかし、企業によっては、機械設計技術者試験の資格を持っていることを評価し、昇進やキャリアアップの際に有利になる場合があります。
また、この資格を持つことで、自分の専門性をアピールしやすくなり、転職市場での競争力も高まります。
自己肯定感とモチベーションの向上
資格を取得することで、自分の努力が形となり、自己肯定感が高まります。
また、資格取得に向けた目標を持つことで、学習や業務へのモチベーションが向上します。
これにより、日々の業務にも積極的に取り組むことができるようになるでしょう。
まとめ
機械設計技術者試験は、現場で働くために必須ではなく、民間資格であり、実務経験が重視される現実から「意味がない」と言われることもあります。
しかし、この試験は機械設計に関する知識を体系的に学び、自分のスキルを証明するための有用な手段でもあります。
資格を取得することで、スキルアップやキャリアアップの可能性が広がり、自己肯定感とモチベーションの向上にもつながります。
自分のキャリアパスに合っていると感じるなら、機械設計技術者試験に挑戦してみてはいかがでしょうか。