競売不動産取扱主任者とは?仕事内容は?国家資格化はありえる?

競売取扱主任者とはどのような資格で、仕事内容はどういったものなのでしょうか。

また、現在は民間資格ですが、国家資格化はありえるのか等について解説していきます。

競売不動産取扱主任者とは?

競売不動産取扱主任者(きょうばいふどうさんとりあつかいしゅにんしゃ)とは、競売によって取引される不動産に関する専門知識を持ち、適正な取引をサポートする役割を担う専門家です。

競売不動産取扱主任者の資格制度は、競売不動産の入札から、落札、そして明渡に至るまでに必要な知識について試験を行い、競売不動産の取扱いに関する一定水準の知識、能力を証明するものです。

不動産競売流通協会 競売不動産取扱主任者資格

不動産競売は、主に債務不履行などにより裁判所の指示で行われるため、通常の不動産取引とは異なる特殊な知識と経験が求められます。

このため、競売不動産取扱主任者は、競売物件の評価、入札手続きのサポート、購入後のトラブル対応など、さまざまな場面で重要な役割を果たします。

この資格は、一般財団法人 不動産競売流通協会(FKR)が実施する試験に合格することで取得できます。
試験は、不動産に関する基本的な法律知識や、競売に特化した実務知識が問われます。

資格取得者は、不動産競売に関わる業務の中で、専門知識を活かして顧客に適切なアドバイスを提供し、安全かつ円滑な取引を実現することが期待されています。

競売不動産取扱主任者の仕事内容は?

競売不動産取扱主任者の仕事内容は多岐にわたりますが、主に「競売物件の調査と評価」「入札手続きのサポート」「購入後のサポート」「コンサルティング業務」等の業務が挙げられます

1. 競売物件の調査と評価

競売物件は、通常の不動産市場に出回る物件と異なり、情報が限られていることが多いため、入念な調査と評価が必要です。

競売不動産取扱主任者は、物件の現地調査、法的調査、過去の取引履歴の確認などを行い、物件の正確な価値を見極めます。

2. 入札手続きのサポート

競売不動産の購入を希望する顧客に対して、入札手続きのサポートを行います。

入札に必要な書類の準備や、入札方法、落札後の手続きについて詳しく説明し、顧客がスムーズに入札に参加できるよう助けます。

3. 購入後のサポート

競売物件を落札した後も、所有権の移転や、場合によっては占有者の立ち退き交渉など、様々な手続きが必要です。

競売不動産取扱主任者は、これらの手続きに関するアドバイスや、トラブル発生時の対応を行い、顧客が安心して物件を利用できるようサポートします。

4. コンサルティング業務

競売不動産に関する全般的なコンサルティングも、重要な業務の一つです。

競売物件の購入を検討している顧客に対して、物件の選定から購入後の活用方法まで、トータルでサポートを提供します。

競売不動産取扱主任者の就職先はどこ?

競売不動産取扱主任者の主な就職先としては、「不動産会社」「法律事務所」「金融機関」「独立開業」等が挙げられます

1. 不動産会社

多くの不動産会社は、競売物件の取り扱いを行っており、専門知識を持つ競売不動産取扱主任者の需要が高いです。

競売物件の仲介業務やコンサルティング業務に従事することが一般的です。

2. 法律事務所

特に、債権回収や破産手続きに関わる法律事務所では、競売不動産に詳しい専門家が求められます。

競売手続きに関する法律相談や、物件の評価などで専門知識を活かすことができます。

3. 金融機関

銀行や信用金庫などの金融機関も、競売不動産に関する業務を行っている場合があります。

例えば、不良債権の処理に伴う競売物件の評価や、入札手続きのサポートなどが業務に含まれます。

4. 独立開業

競売不動産取扱主任者として独立し、個人でコンサルティング業務を行うことも可能です。

競売物件に関する豊富な知識と経験を活かして、個人や法人に対して専門的なアドバイスを提供します。

競売不動産取扱主任者の国家資格化はある?

近年、賃貸不動産経営管理士が国家資格化されたこともあり、競売不動産取扱主任者も国家資格化されるのではと期待する声もあります。

しかし、競売不動産取扱主任者がすぐに国家資格化されるとは期待しない方が良いでしょう

賃貸不動産経営管理士とは状況が異なります。

賃貸不動産経営管理士が国家資格化される直前の受験者数は20,000人程度。
それに対して、競売不動産取扱主任者の受験者数は1,300~1,500人程度と、10分の1にも満たない規模です。

そのため、競売不動産取扱主任者がすぐに国家資格化されるとは考え難いです。

ただし、将来的にはわかりません。

競売不動産に関する法律や規制は、年々厳しくなっています。
これに伴い、競売物件の取引に関わる専門家には、より高度な知識と倫理観が求められます。

質の高い(競売の)専門家育成を目的として、競売不動産取扱主任者が国家資格化される可能性はなくはないのです。

以上のように、競売不動産取扱主任者がすぐに国家資格化される可能性は極めて低いですが、競売不動産取引の重要性が増す中、専門知識を持つ資格者の役割はますます重要となっていくでしょう。

今後の動向に注目しながら、競売不動産取扱主任者の資格取得を目指す方々は、日々の勉強を続けていくことが大切です。